
文部科学省により、平成20年に発表された「小学校学習指導要領解説 外国語活動編」という資料があります。
それによると、昭和61年4月,臨時教育審議会「教育改革に関する第二次答申」の「外国語教育の見直し」において,「まず,中学校,高等学校等における英語教育が文法知識の修得と読解力の養成に重点が置かれ過ぎていることや,大学においては実践的な能力を付与することに欠けていることを改善すべきである。」という指摘がなされました。
つまり、20年以上前から、私たちの習ってきた英語が、文法や読解中心で、実践的能力をつけるのには不足しており、改善すべきであると、すでに反省されているのです。
その後、国際理解教育の一環として、小学校でも英語活動が行われるようになりました。
そして、平成20年に小学校学習指導要領が改訂され、5学年と6学年に外国語活動が位置づけられました。
原則として、英語を取り扱うこととしています。
目標は、外国語を通じて言語や文化について体験的に理解を深める、外国語を通じて積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませる、といった内容です。
これらのうち、英会話の実践的な部分だけ、取り出してみましょう。
ただし、この学習指導要領解説では、ただ会話ができるという点だけでは外国語活動の目標と合わない、と述べていますが、ここではあえて触れません。
実践的な面のヒントをつかむというのが、この記事の目的ですから。
外国語活動の内容の中に、「外国語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに,日本語との違いを知り,言葉の面白さや豊かさに気付くこと」という項目があります。
その解説には、具体例が挙げられています。
「例えば,日本語のミルク(mi-ru-ku)は3音節であるが,英語のmilk は1音節である。これを日本語のようなリズムで発音すると,英語に聞こえず,意味も伝わらない。
そこで,実際に英語で歌ったりチャンツをしたりすることを通して,英語特有のリズムやイントネーションを体得することにより,児童が日本語と英語との音声面等の違いに気付くことになる。」
つまり、子ども用ですが、英語特有のリズムやイントネーションを、歌やチャンツ(リズムの付いた会話など)で、体験的に理解させようというねらいのようです。
コミュニケーションの場面の例としては、特有の表現がよく使われる場面が、以下のように挙げられています。
「あいさつ、自己紹介、買い物、食事、道案内。」
以下、具体的例文が示されています。
・あいさつ
例1 A:Hello. How are you?
B:I'm fine, thank you.
例2 A:Nice to meet you.
B:Nice to meet you, too.
・自己紹介
例 Hi, my name is Taro. I like sushi. I don't like tennis.
・買物
例1 A:Do you have blue shoes?
B:Yes, I do. / No, I don't.
例2 A:What do you want?
B:Banana, please.
・食事
例A:What would you like?
B:Soup, please.
・道案内
例A:Where is the post office?
B:Go straight. Turn left / right.
もう一つ、児童の身近な暮らしにかかわる場面が挙げられ、具体的には家庭での生活、学校での学習や活動、地域の行事、子供の遊び、が例示されています。
具体的例文も示されていますが、ここでは省略します。
さて、小学校での英語教育の一部でしたが、どうでしたでしょうか。
教育ですから、大人になって英会話をやり直す・始める私たちとは、目的・目標は異なります。
でも、英会話を通してコミュニケーションを図る楽しさを体験するという点は、大人の私たちにも共通するものだと思います。
つい忘れがちになりますが、英語の習得自体が目的化してしまうのでなく、相手との交流(また楽しさや面白さ)が基本にあることは肝に銘じておきたいものです。
また、具体的な英会話学習法として、リズムや歌が挙げられていましたが、五感を使って身につけていくというやり方も、一つの方法だと思います。
子どもみたいだと思う方もいるかもしれませんが、体感するということは、あとあとまで残るものではないでしょうか。
もし、家族がいて、子どもがいるなら、親子で英会話を始めるのも楽しいと思います。
子ども相手ですが、我が子の英語力・学力も向上すると期待できれば、親として苦労は感じないはずです。
子どもといっしょに英会話上達、すてきですね。